※ここで書くことは、POD HDに限らず、どんなセットアップでもギターの音づくりとして共通のことです。
プリEQって何?
ディストーショントーンを作るに当たって大きな役割を果たすのが、プリEQです。プリEQとは、ギターの音がアンプに到達する前にEQをかけることを指します。クリーンの状態の周波数レスポンスのカーブを彫刻して、理想のディストーションを作るイメージです。
プリEQの最も基本的なやり方は、単純にEQ系のエフェクトをアンプの前に挟む方法です。これならアンプのと特徴をそのまま残して、EQを調整して自分が意図したサウンドに近づけることができます。
でも、それよりももっと効果が高いプリEQの掛け方があります。
それはディストーション系エフェクトを使うということです。
ディストーションペダルでプリEQをする
ただしこれは、そのエフェクトペダルのディストーションを加えるためではなく、あくまでアンプのディストーションに対する反応だけを調整するために使います。こういう使い方は、「ドライブ」や「ブースト」と呼ばれていますが、この呼び方はちょっと混乱を招きやすいと思います。
この語源を解説すると、昔は、現代のハイゲインアンプほど歪ませられるアンプは存在せず、オーバードライブのペダルをアンプの前に付け足してギターの信号のレベルを上げて歪ませる必要がありました。(主にIbanez Tube Screamer等)最近のハイゲインアンプは、十分なゲインがあるのでもうそんなことをする必要はないのですが、当時のその手法のオーバードライブペダルがアンプのディストーションに与えるEQ効果は今でも他に代わるものがなく、ずっと引き継がれてきているわけです。
現代の使い方で正しく言うなら「フィルタリング」になるのですが、今でも昔のまま「ブースト」や「オーバードライブ」と呼ばれています。
プリEQをするためにディストーションエフェクトを使うと、単純にEQペダルを挟むだけでは味わえない独特の色が加わります。具体的にいうと、若干の歪みとコンプレッサーが掛かる感じです。(それが良いのか良くないのかは、場合によります)
ちなみに、パワーアンプによってディストーションがかかるタイプのアンプモデルは、アンプのbass mid treble presenceなどのコントロールの後にディストーションがかかるので、それらのツマミがディストーションサウンドに大きな影響を及ぼします。
プリEQに役立つ周波数レスポンス早見表
下記表をプリEQに活用して自分のお好みのディストーションサウンドを探ってみてください。
ボヤボヤしすぎてたり、チリチリしすぎてたりしたら、
その不必要だと思う周波数エリアを少し削ってみてください。
必ずしも元の音から劇的な変化をさせる必要はなく、単純に不必要と思えるエリアをちょっと削って、もっと欲しいところをちょっと足すだけでいいんです。
予想以上に楽しいと思います。
周波数(Hz) | 強調したときの聞こえ方 | 削ったときの聞こえ方 |
---|---|---|
0~150 | モコモコ | 薄っぺらい |
150~250 | ボヤボヤ | 薄っぺらい |
250~500 | クリーミー | 無機質 |
500~800 | フラット | スカスカ |
800~1500 | ジェント | ビリビリ |
1500~3000 | パキパキ | 活気がない |
3000以上 | チリチリ | スムーズ |