プリEQの記事で書いた通り、理想的なディストーションサウンドを作るときの手法として、アンプの前にスクリーマー等のエフェクトを掛けてアンプに流れてくる音の波形を予め変えるという方法があります。

結果として、スクリーマーのディストーションとアンプのディストーション両方の組み合わせの音になるのですが、ここで書きたいのは、一つのシグナルチェーンに繋げた複数のディストーション達を、それぞれどのように調整していくと良いかということです。

例えば、フェーザーをディストーションがかかったアンプの前に置くのと、後に置くのでは当然音が全然違いますよね。
ニュアンスとしては、フェーザーを音の中に掛けるか(アンプの前に配置)、音の上に乗せるか(アンプの後に配置)、みたいな差があります。同じように、ディストーションを扱うときも順番やレベルを考慮しなければなりません。

最もお勧めなのは、一つメインのディストーションを選んでそれ以外のディストーションは少しづつゲインに貢献させることです。
ただし、メインのゲインステージ以外のつまみを全然ゼロにしてしまうとあまりいい結果にはなりません。

例として、
ディストーションエフェクト

プリアンプ

パワーアンプ

というシグナルチェーンがあったとします。一番よくあるパターンとしてはプリアンプがメインのゲインになり、他の二つは少しづつゲインをプラスする感じです。ディストーションエフェクトはそもそもプリEQをするために配置していたとしても、少しだけゲインを付け加えることによって、アンプモデルによってはもっと暖かくスムーズなサウンドになったり、逆にもっとエッジが効いた攻撃的なサウンドに変化したりします。

もう一つのパターンとして、さっきの同じシグナルチェーンで、今度はメインのゲインをディストーションエフェクトにしたとします。この場合、プリアンプのドライブをゼロにすると違和感がある音になります。

マーシャルのアンプだったら、最低10%くらいまでドライブを持ち上げないと自然な音にはならず、やっとマーシャルらしさがでてくるのは20%くらいからです。となると、プリアンプからもディストーションが提供されることになりますが、これは仕方がないことだと思います。ゲインが強くなり過ぎてしまったら、ディストーションエフェクトのほうのドライブを下げてみるか、もしくはディストーションエフェクトのアウトプットを下げるのもいいかもしれません。同じ量のゲインでも、ここのバランスで音色は大分左右します。

ここでか書いたことはプリアンプ対パワーアンプでも同じ事がいえます。メインのゲインは一つしかなくても周りから少しづつ旨味汁を分けてもらうことで、素晴らしいディストーションサウンドが手に入りやすくなりますので、参考していただければと思います。

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