私がPOD HDを使い始めてからこれまでにいくつか「イライラするわー!!」ってなるような、混乱を招きかねない落とし穴を発見したので、ここに書いていきます。
これを把握しておくと、無駄なイライラを防ぐことができるかもしれませんので、目を通しておくことをお勧めします。

シグナルパスは全部ステレオ

ディスプレイに表示されるシグナルパスの線はすべてステレオですので、ステレオにするためにチャンネルAとBを両方使う必要はありません。それぞれのチャンネルでステレオになっています。

ミキサーのパン

ミキサーのパンはLかRにシグナルを寄せるのではなく、LかRのどちらかをブロックするだけの作りになっています。
なので例えばパンをLにMAXに振ると、元々R側だったものもLに寄るのではなく、単純にR側がミュートされるだけになります。

モノラル統合とステレオエフェクト

エフェクトの中には、エフェクト処理がされると同時にシグナルをモノラルに統合するタイプのものが結構あります。
ステレオで入ってきた信号をモノラルにして、エフェクトを掛けてからまたステレオに戻すのです。
そうすると、そのエフェクトの前にステレオエフェクトをかけてLとRで別々の音がでるようにしていても、モノラル統合をするエフェクトを通った後は左右とも全く同じものになってしまいます。
ですので、ステレオ系のエフェクトはシグナルチェーンの最後に配置しなければなりません。
主なモノラル統合系エフェクトは、ダイナミクス系、ディストーション系と、アンプです。EQ、ディレイ、リバーブ系はステレオエフェクトです。

デュアルアンプのとき以外は、チャンネルAのみが吉

デュアルアンプを使わないパッチを作るにあたって一番無難なのは全ての要素をチャンネルA(シグナルチェーンが二手に別れているとこの上の方)に配置し、ミキサーでチャンネルBをミュートして、チャンネルAをセンターにもってくるやり方です。元々チャンネルBに配置していたアンプをチャンネルAに移動するには、チャンネルAに適当なアンプを配置してそれを置き換える必要があります。
この設定では、Input1はチャンネルAに繋がっていて、Input2はミュートされているチャンネルBに繋がっていることになります。
これで、このあと下の方で書くInput2の問題に直面せずに済みます。
もう一つの利点としてはミキサーが一番最後のシグナル通過点になり、最終的なボリューム調整がそこでできるので、パッチを作っている最中にボリュームを抑えめにしていても問題なく、不必要なクリッピングの防止になります。
上でも書いた通り、チャンネルA単体でもステレオ仕様なので、すべてのステレオエフェクトの使用も問題なく維持できます。

シグナルルーティング

Input1とinput2は、シグナルチェーンの最初のところでは、それぞれステレオのLとRという風に扱われます。
シグナルチェーンが分岐するところで、LはチャンネルA、RはチャンネルBに流れるようになっています。
つまり、頭にモノラル統合のエフェクトを使わなければ、Input1と2を使って二つの楽器を同時に使うことができるということです。

Output端子による自動モノラル統合

1/4インチのunbalanced out端子は、LかRのどちらかにしかケーブルが刺さっていない場合、自動でモノラル統合する仕組みです。なので、例えば1/4インチunbalanced outの左と、XLR balanced outの右を使ってステレオにしたい場合は、1/4インチunbalanced outのRにダミーとしてケーブルをさす必要があります。XLR端子の方は、片方しかケーブルがささってなくてもモノラルにはなりません。

MASTERのつまみの値

このつまみはアナログ出力のみに適応されます。(1/4インチ系の出力、XLR出力と、ベッドホン)
POD HDのマニュアルには、シグナル対ノイズの比率は、MASTERをマックスにしたときなので、マックスにするのが理想的だということが書いてあります。
確かにその通りですが、 場合によってはこれだとクリッピングが起こる可能性がありますので、設定に応じで下げるようにしましょう。
例えば、four cable methodを使ってpeavey valvekingや6505等のマスターボリュームのコントロールが付いていないアンプと繋げる場合、PODのMASTERでボリュームを調整する必要がでてきます。

インプット設定 グローバル/パッチ オプション

インプットの設定は、システムメニューの中で行いますが、だからと言ってグローバル(全パッチに適応される)というわけではありません。その画面内で、グローバルに適応するかそのパッチだけに適応するかを選べるようになっていますので、確認してください。

VOLUMEつまみの役割

VOLUMEのつまみ(HD editソフトではCh.Vol)は、トーンに影響がない、アンプセクションに対する出力レベルです。パワーアンプを大音量にしたときのブースト感を出すには、Master DEPを使うべきです。
VOLUMEつまみは、半分以下に設定しておくのがお勧めです。
でなければ、EQなどの敏感なエフェクトや、PODの内部のデジタル解像度に対してクリッピングが起こる可能性が高いです。

Input2は危険

Input2はVariaxに設定しておくのがお勧めです。デュアルアンプは使わずに、すべての要素をチャンネルAに配置していれは気にする必要はないのですが、そうでないときはちょっと問題があります。
Input2に、Input1と同じくGUITARを選択すると、若干のフェージングが発生します。特に、シグナルが分岐するまえにディストーション等のモノラル統合するエフェクトを配置した場合は、フェージングが目立って、貝殻に耳を当ててるときのような音になってしまします。
更に、何故か無駄にシグナルレベルがあがって、エフェクトやアンプの反応が大分変わってきます。
例えば、Input1と2に両方GUITARの設定して、シグナル分岐の前にscreamerを配置すると、driveを0に設定していてもかなり歪んでしまいます。
シングルアンプのパッチなのにチャンネルAにすべての要素がまとまっていないパッチを既に作ってしまっている場合は、Input2をVariaxとかmic等の使ってない端子に変更して、その設定をグローバルにして、全パッチを弾いてフェージングやレベルの減少がないか確認してみるといいと思います。
Input2にもGUITARを設定した状態で音作りをしたパッチは、Input2を別のものに変えた時に、ドライブが弱くなるので、シグナルチェーンの最初のほうにディストーションかコンプレッサーを掛けてレベルを持ち上げてやるといいです。そうすると、元々の音のドライブ感に戻すと同時に、もっと生き生きとしていて輪郭がハッキリした音になるはずです。

デュアルパスのフェージング問題

POD HD内ではエフェクト(特にEQやコンプレッサーエフェクト)を通すと僅かな信号の遅れ(レーテンシー)が発生します。これは私がPOD HDを使い始めたての頃に特に混乱したところです。
レーテンシーが大きいエフェクトを片方のチャンネルのみにかけると、コームフィルターという現象で高域が消えてしまいます。
これを防ぐには、チャンネルAに配置したのと同じEQをチャンネルBにも配置してニュートラルな設定にします。
個人的によく使うパターンとして、デュアルキャビというのがあり、デュアルアンプの設定でアンプは同じだけどキャビとマイクだけ変えています。
これが、キャビのコンビによってはレーテンシーに差がでてフェージングが起こってしまいます。
そこで、さっきのEQやコンプレッサーのレーテンシーを逆に利用してフェージングを解消するという手があります。これについては長くなるのでまた別の時に書きます。

自分で音作りをするのが面倒になったら、POD HD Manのパッチセットをお試しください。