これから解説をするデュアルキャビのテクニックを使えば、ダイレクト接続のときの音を劇的に改善することができます。
ただし、ちょっと難易度が高く通常の2倍くらい音作りに時間がかかります。
そしてDSPの消費も増えるので、あまり余計なエフェクトは使えなくなります。場合によってはリバーブ等を削らざるを得ないことさえあります。

POD HD内のキャビとマイクは、それぞれどこかの周波数レンジが抜けていたり、篭っていたり、本物っぽくないところがあったりで、完璧なものはありませんが、それぞれのモデルの周波数レンジがバラバラなので、同じアンプモデルを二つ使いつつ、二つの別々のキャビを組み合わせることによってフルレンジサウンドを作り出すことができます。

デュアルキャビ

デュアルキャビのパッチ設定

デュアルキャビでいい音を作るには、アンプ2つとエフェクトが1〜2個が最低限必要になので、まずは元にしたいパッチにそれができるだけのDSPの余力があるかを確認しましょう。なければ何かのエフェクトを削ってください。

お気に入りのシングルキャビの状態で設定したEQを元にデュアルキャビのパッチを作っても、EQを大幅に調整しないといけなくなることもあります。なので、あまり自分の音に対して守りの体勢にならないようにし意識してください。
正直、全く空のパッチから初めるのが一番オススメです。

デュアルキャビの仕組みの作り方自体はシンプルです。
まず、デュアルアンプのパッチを作って、アンプモデルを同一のものを選んで、ツマミの設定も全く同じにします。
次に、キャビとマイクだけをチャンネルAとチャンネルBで別々のものを選択します。
最初はEQとDEPの設定は同一のままで選択するといいでしょう。
ミキサーで両方のチャンネルをCenterにして、最終的な出力がモノラルになっているようにしましょう。

それができたら、肝心のキャビを選んで行きます。

キャビ選び

基本ルールとして、相性が良い、且つ、音を補足し合えるような組み合わせにすることです。

例えば、Tread V-30とXXL V-30は共にタイトでモダンなキャビなので相性がよく、Tread V-30は薄い音で、XXL V-30はパンチが強いということで別々の周波数レンジをカバーしています。
つまり、これは良い組み合わせだといえます。

それに対して、Tread V-30とHiwayの組み合わせは、別々のトーンを持っている上に、強みとなる周波数レンジが両方とも高音で被ってしまっているので、あまり良い組み合わせではありません。

当然各キャビの特徴を知っておくと選択は楽ですが、
私のお気に入りのキャビはこちらです。

チャンネルA用(明るめの音担当)

キャビは、
Hiway
Tread V-30
Uber
Greenbacks

マイクは、
57 on axis mic

チャンネルB用(低音とパンチ担当)

キャビは、
Uber
Greenbacks
XXL V-30

マイクは、
121 Ribbon
67 Cond
409 Dyn
57 off axis mic

スタート地点として、上記の中から好きなものを組み合わせてみると良いかと思います。
ただ、トーンと周波数レンジ的には良い組み合わせのはずでも、必ずしも良い結果になるとは限りません。
もし、しっくりこなければ、同じジャンルの別のモデルに変更して試してみてください。

(例えば409 micを使いたいところで、421か67 condに差し替えて見るなど)

アンプのボリュームを調整してバランスを整えて、二つのチャンネルがブレンドして、一つのフルレンジのキャビのように仕上がればいいです。

どちらかのチャンネルが圧倒的に大きくしたりしないようにするのがオススメです。
私の場合は大体半々くらいのバランスに落ち着きますが、若干チャンネルB(低音担当)のほうが強気味になることもあります。

オススメの調整方法としては、明るい方のチャンネルのボリュームを一旦0%にして、徐々に上げて行きます。それで音がフルレンジになって、暗い方のチャンネルが乗っ取られる直前の所で止めます。
抜けのいい音を作るには、明るいチャンネルの力が必要ですが、やりすぎて音の体積を失わないように注意してください。

この時点でフルレンジの音が手に入る場合と、なかなかうまくいかない場合があります。
うまくいっていないのは、恐らく、フェージングの問題が発生しているからです。
どうしてもフルレンジにならず、空洞みたいな音になっていませんか?

その原因と解消法は次回書かせていただきます。

自分で音作りをするのが面倒になったら、POD HD Manのパッチセットをお試しください。