Outputモードの基本
POD HDの本体のVIEWボタンを長押しすると表示されるUTILITYの画面を横にスクロールしていくと、このようなOUTPUTモードを選択できる画面がでてくるはずです。
ここで、POD HDの出力モードを選択します。
Outputモードは、
Studio/Direct
Stack Power Amp
Combo Power Amp
Stack Front
Combo Front
の五種類があります。
POD HDは基本的に直感で操作ができるように作られていて、Outputモードも、自分のPODの接続方法に従ってモードを選択すればほとんどの場合は問題ありません。
例えば、PODを直接PA卓に繋いだり、直接PCに繋ぐ場合は「Studio/Direct」を選択します。
または、アンプのFX loopに繋いだり、別途パワーアンプに接続するときは「Stack/combo power amp」を選択します。
または、PODからアンプのギターINに接続するときは、ヘッドアンプなら「Stack Front」を。コンボアンプなら「Combo Front」を選択します。
Outputモードの解りづらいところ
Outputモードの解りづらいところは、そもそもOutputモードを選択できるという事自体に気づきにくいというとこです。
直感的に操作しているだけだと、単純にパッチでキャビとマイクを選択するだけでキャビとマイクのシミュレーションが適応されているんだ、と普通は考えるはずです。
でも実際は、Outputモード次第で、キャビとマイクのシミュレーションがされたりされなかったりするので注意が必要です。
Studio/Directモードでは、マイクとキャビのシミュレーションはすべて適応されます。
でもそれ以外のモードではマイクは何を選んでも、音への変化は一切ありません。
更にキャビも本来のスピーカーシミュレーションではなく、うっすらEQがかかるだけの扱いになります。
Stack FrontとCombo FrontのモードではPODの出力にEQが適応され、実際のアンプのギターINではないところに接続すると過激すぎて使えない音になります。
…混乱してきましたか?
では実際PODの中で何が起こっているのかを説明します。
POD HDのOutputモードの設定によって、4つの要素がONになったりOFFになったりする仕組みです。
その四つの要素がこれです。
4つの要素
①グローバルEQ
Stack FrontモードとCombo Frontモードではシグナルチェーンの最後にグローバルEQが追加されます。
これの意図は、接続先のアンプが持っている色をニュートラルにして、PODの音をヘッドホンで聞いたときとの差異を縮めるためのものです。
とは言っても、完全にアンプの色をニュートラルにすることはかなり難しいです。というのは、アンプに繋げると単なるEQの変化だけでなく、複雑なコンプレッサーのような効果も加わり、多くの場合若干のディストーションも加わることがあるからです。完全にアンプの色をニュートラルにするなら、アンプのプリアンプをバイパスする必要があります。
それを理解したうえでEQを調整することをオススメします。
②キャビに対するEQ
Studio/Directモード以外のモードでは、キャビに対してうっすらとEQがかけられるようになっています。これの意図は、実際に使っているキャビで鳴らしたときの音を、POD HDで選んだキャビの音に近付けるためです。
キャビを「no cab」にして無しにするとこのEQは適応されなくなります。
メモ:Studio/Directモード以外のモードでPOD HDのマイクの選択を変更したとき、音が一瞬途切れてあたかもマイクが適応されているかのように感じますが、実際は音に変化はありません。
③キャビ&マイクのシミュレーション
Studio/Directモードのみでパッチで選択したキャビとマイクのシミュレーションが適応されています。
キャビを「no cab」にするとシミュレーションがOFFになります。
このシミュレーションが唯一の本当のキャビ・マイクシミュレーションで、最もナチュラルなギターサウンドを得ることができます。これ以外のモードで直接PAやPCに繋いだだけだと、とても使える音にはなりません。
④低音ブースト
Combo Power Ampモードと、Combo Frontモードでは、低音がブーストされるようになっています。これの意図は、コンボアンプは通常低音のレスポンスが低いので、それによるPOD HDの音との差異を減らすためです。
例えば普段はスタックのアンプで鳴らしているパッチを、コンボのアンプを使って鳴らしたいときはOutputモードをCombo系にするとわざわざパッチのEQをいじりなおさなくとも、スタックで鳴らしていたときと同じようなサウンドが得られるというわけです。
Outputモード効果の一覧表
上記の四つの要素が、各Outputモードでどのように適応されるのかを表にしてまとめました。
×:適応されない
○:パッチのキャビが「no cab」じゃないときに適応される
●:無条件で適応される